年次モデルチェンジ
性能ではなく「気分の型落ち」を毎年つくる。GMのアルフレッド・スローンが磨いた買い替えの発明です。一九二三年の年次報告にはこの慣行についての弁明めいた記述があり、そのころにはもう動いていたことが分かります。形が決まったのは一九二七年でした。前年のラサールの意匠が評判をとったのを受けて、六月二十三日、GMは「美術・色彩部門」の新設を承認し、ハーレー・アールを責任者に据えます。自動車会社に、車をどう見せるかだけを考える部署ができました。功も罪も大きい発明です。一九六〇年代の後半にはフォルクスワーゲンが広告でこの慣行をからかい、業界紙にまで「もうやめるべきだ」という声が出ました。一方で、毎年の意匠の刷新には選べる幅と雇用を増やした面もあり、性能や安全の進化も同時に進んでいます。この地図は、どちらかに決めません。
神話の訂正
「計画的陳腐化」は、企業がわざと壊れやすい物を作ることを指す言葉として生まれた
生まれたときの意味は、ほとんど正反対でした。言葉の初出はバーナード・ロンドンが一九三二年に出したパンフレットです。彼は不動産ブローカーで、大恐慌の一因は人が車もタイヤもラジオも服も想定より長く使い続けていることにあると考え、政府のほうがすべての品物に法で寿命を定め、期限が来たら廃棄させ、従わない消費者には罰則を科すべきだと提案しました。企業を責める言葉ではなく、政府がやるべき景気対策の案だったのです。いまの意味を広めたのは、ヴァンス・パッカードの『浪費をつくり出す人々』(一九六〇)でした。