ダイレクトレスポンス
効いたかどうかを数えられる広告。この型の芯は「反応を測る」の一点です。前史は十九世紀の後半にあります。特許薬と通信販売の広告が、返事の来た数を数えはじめました。コカ・コーラのアサ・キャンドラーが一八八七年に配ったクーポンも、もとは割引券ではなく無料の試飲チケットです——「切る」というフランス語がそのまま名前になりました。それを広告の効果を測る道具に変えたのが、クロード・ホプキンスです。同じ形式でも目的が違いました。彼は一八九〇年代のはじめ、絨毯掃除機の会社で五千通の手紙を出し、千人から注文を受けています。反応は二割でした。一九〇七年にはビール会社で、瓶を蒸気で洗う工程を広告に書きます。業界の全社が当たり前にやっていたことでしたが、最初に声に出して言った会社が勝ちました。一九二三年の『Scientific Advertising』が、この考えを一冊にします——広告とはセールスマンシップであり、目的は売ることであり、結果は数えられなければならない。ちなみにブランド広告の神様と呼ばれたデイヴィッド・オグルヴィは、この測定型の教科書を七回読んだと言っています。次に来たのがジョン・ケープルズです。一九二六年、入って一年目の新人が書いた見出し——「私がピアノの前に座ると、みんなが笑った。ところが弾きはじめると」。一九三二年の『Tested Advertising Methods』には、同じ商品・同じ紙面・同じ写真で、訴えかたを変えただけで反応が十九倍半違った例を見た、と書いてあります。見出しを二つ刷り分けて比べる——いまA/Bテストと呼ぶものの原型です。「ダイレクトマーケティング」という言葉自体はレスター・ワンダーマンが一九六一年の講演で使いはじめ、一九六七年にMITで定義しました。テレビでは一九八四年、米国が番組の長さの広告への規制を外してインフォマーシャルが生まれます。そして二〇〇〇年代、「クリックされたときだけ払う」がやってきました。反応にだけ払うという百年前の原理が、そこで数えきれる形になります——この線は、この地図の私見です。
神話の訂正
「広告費の半分は無駄だ。問題はどっちの半分か分からないことだ」——ジョン・ワナメーカーの言葉
ワナメーカー本人が言った記録が、どこにも見つかりません。近い言い回しは一八九〇年の業界誌にすでにあり、彼の言葉として文書に残る最古は一九一九年、ある牧師が講演で引用したものでした。英国では同じ趣旨がレバーヒューム卿の言葉として伝わっています。極めつけは、伝記作家が彼の遺品からこの格言のタイプ打ちの紙を見つけたことです——出典も署名もなく、彼はふだん自筆で書く人でした。つまり、誰かの言葉を書き写したメモだった可能性が高い。名前のつけかたが後からずれるという、この地図で何度も出てくる話が、名言の側でも起きています。