証券取引所
株が譲渡できるなら、それを売り買いする場所が要ります。VOC株は設立直後から橋の上などで取引され、1611年、ヘンドリック・デ・ケイセルの設計した専用の建物ができました。企業の株式を扱う常設の取引所としては、これが最初とされます。ところでこの場所、開いてすぐに「使い方」も発明されています。1609年、元VOC取締役のイサーク・ル・メールが仲間とシンジケートを組み、株を持たないまま将来の受け渡しで売る——記録に残る最古の空売りで、株価を突き崩そうとしました。結果は踏み上げられて自分たちが破産。近代金融の歪んだ使い方は、近代金融とほとんど同時に生まれています。
神話の訂正
アムステルダムが世界初の取引所
取引所という建物自体は、71年早くアントウェルペンにありました(1531年・商品取引所)。ロンドンもアムステルダムも、そこを手本にしています。アムステルダムが本当に新しかったのは「取引所」ではなく、そこで扱った商品——会社の株式——のほうでした。