現金掛値なし
駆け引きで値段が決まる呉服の世界で、越後屋は「店前現銀無掛値」——店頭・現金・値引きなし——を打ち出しました。1673年の開業から10年、店を駿河町へ移した1683年、「呉服物現金安売り掛値なし」の摺物を日本橋界隈のほぼ全戸に配ります。のちに引札と呼ばれる、日本最初期の印刷広告です。誰にでも同じ値段は、パリのボン・マルシェより179年早い実践でした——「世界初」と言い切る学術証明はまだ無いので、この地図は早さの比較だけを書きます。経営学者ドラッカーは三井高利を「シアーズに約250年先んじた」と評しました。この店はのちの三越、そして三井の源流です。