市場のはじまり
顔見知りの贈り合いから、知らない人との交換へ。メソポタミアでは前3千年紀の半ばごろから、穀物も土地も労働も値のつくものになっていました。ギリシャの「アゴラ」はもともと市場ではなく、自由市民が集まる開かれた場所——召集と布告と議論の場で、市場の機能はあとから重なります。知らない相手とどう交換するかという問題に、古代はこんな答えも出していました。ヘロドトスが伝える沈黙交易です。カルタゴの商人が浜に商品を並べて船に戻り、煙で合図する。住民が来て金を置いて去る。商人が戻って金が足りなければ、何も言わずまた船で待つ。すると住民が金を足しにくる。声を出さずに、間だけで値段が決まっていました。※この記録自体に誇張が混ざっている可能性も指摘されています。※「市場は都市とともに生まれた」と断定はしません。分かっているのは、都市の神殿や宮殿を起点に交易の記録が集まっている、ということです。