のれん分け
長く勤めた奉公人に、主家が屋号と得意先と開業資金を渡して独立させる。入店から十年、長ければ二十年かけて番頭まで上がった者だけが、同じのれんを掲げることを許されました。独立した店は「別家」と呼ばれ、そのあとも本家との行き来が続きます。仕組みだけ見ればフランチャイズによく似ていますが、渡されたものが違いました。フランチャイズが契約とロイヤリティで結ばれるのに対し、のれん分けを結んでいたのは恩と信用です。※両者を比べた学術研究は見つからなかったので、これは構造の対比として書いています。ちなみに会社を買うときの「のれん代」——目に見えない信用の値段——も、この布から来た言葉です。ただし、いつ誰が goodwill をこう訳したのかは、まだ突き止められていません。