約束を売る
手元にまだ無いものを、先に約束として売る。貸付の利息も、為替手形も、保険も、株式も、サブスクも、この川の子です。そしてこの川の古さには、少し驚かされます。人類が最初に発明した文字の使い道は、詩でも祈りでもありませんでした。ウルクの粘土板に刻まれていたのは「誰が何を預け、誰が何を借り、誰が返したか」——つまり借金の帳簿です。約束を記録するために、文字は生まれたのかもしれない。メソポタミアでは銀は年に二割、大麦は三割ほどの利息で貸されていた記録も残っています。約束は目に見えないので、この川はいつも「信用をどう見える形にするか」の発明史でした。粘土に刻む、神殿が後ろ盾になる、紙に印刷する、帳簿で消し込む——やっていることは、四千年変わっていません。