両替商と手形鴻池家は1625年に大坂で海運業を始め、酒の売上代金を江戸から安全に持ち帰るために為替を使いはじめます。1656年、酒造をやめて両替商へ——代金回収の副業が、本業を呑み込みました。現金を運ばず帳簿で決済する「御屋敷為替」は大名にも重宝され、2代目のころには32藩と取引する金融資本に育ちます。紙の約束が、大坂と江戸のあいだの経済を回していました。