先用後利
先に薬箱を置いてもらい、使った分だけ、あとから受け取る。富山の売薬は、おまけの文化と、隣に立てた顧客台帳(懸場帳)まで揃えて、「続く関係」の型を江戸時代に完成させていました。起源とされる1690年の逸話——江戸城で藩主・前田正甫が反魂丹で腹痛を治し、諸大名が持ち帰りを願った——は、史料の裏付けがない伝承です。「先用後利」という四字熟語自体も、同時代の言葉かどうかは確認できていません。「三方よし」が1988年の標語だったのと同じことが、ここでも起きているのかもしれません。この地図は、仕組みの見事さと物語の危うさを、両方とも書きます。ところでこの型、毎月定額のサブスクより「使った分だけ払う」従量課金にそっくりの骨格をしています——朱の線を、未来へ2本引いておきました。